高齢者

日本の教育制度について考える

投稿日:2020年11月17日 更新日:

 もう40年近く前の話です。小学校の教員をしていた頃、文化祭でクラス発表をしました。「我が生い立ちの記」というテーマで、今まで生きてきた経験を子どもたちなりの視点で書くというものなのですが、模造紙の中心が担任の記載場所で、そこに、担任も記事を記載するので、学校を出てから土建屋をやり、その他の仕事もいくつかやって、その間に通信教育課程で頑張って小学校教員免許を取得した流れを書いて、「人間、やろうと思えば何でもできるから、みんな頑張れ。目標を明確にすることが大切だ。そのための変更は何度してもいい。正しいと思う道を進め。夢を捨てるな。絶対諦めるな。」って締めくくったところ、文化祭前夜に各教室を見回りに来た主事(公立でいうと校長になるのかな)に、掲載を却下されました。「事実を書いてどこが悪いのか?」というボクの質問に、「教育的ではない」と。「社会経験して自分の心と身体で生き方を考えることの方が、大学を出ていきなり教員になるよりも大切なんだ。先生は自分が経験していないことだから認められないだけなんだ」と言い返しましたが、結局掲載許可になりませんでした。文化祭当日、ボクのクラスだけ担任の記載場所には「日の丸」が。翌年、二度目の赴任として中東サウジアラビア王国に出国しました。(^-^)/
前述の主事さんは、ずっとお会いしていませんし、もう亡くなっておられるかもしれませんので、これ以上悪く言うつもりはないのです。事実をボクは言ってますし、70歳にもなって、他人様をキズつけることも、他人様からキズつけられることもしたくありません。どうせみんな死ぬんだし。彼も教育界で自分の信じる道を脇目を振らず進んできたんでしょうからね。恨んでませんよ、もう。でもボクは教育でもっとも大切な事は、「正しいことは正しい」、「間違ったことは間違っている」と、きちんといえる人間を育てることだと思っています。電子黒板を使うのもICTを利用した教育技術を磨くのも、とてもとても重要なことだとは思っています。ボクも、初等中等高等教育の教育担当者として活動していた頃は、一応その道の専門家でしたから。これからの未来もAIやロボットの働きが進歩していく時代に向かってどんどん動きを加速して行くべきです。しかし、どんなに教育技術や手段が進んだとしても、教育で一番大切な事は、何があっても本当の意味で自分で生きていく「力」を子どもに持たせることだと思っているのです。そのために大切なことは、子どもには、「自分の目で観て」「自分の頭で考えて」「自分の心で判断する」という、人間として生きていく上で本当の意味での生きるチカラを持ってもらうようにすることが重要なのです。
世間知らずは、教員になってはいかんのです。語弊があったらごめんなさい。でもこれは初等教育の教員から高等教育の教員になっても変わりませんでした。こういう考え方から、現在のそして現在までの教員採用試験の方法は間違っていると思っています。大学を卒業したての人をいきなり教壇に立たせることはどうなのか?と自分の教育人生の中で関係機関に微力ながら言い続けて来ました。前述の主事には、「君は学校を出て教員だけしてきた人間がダメな人間だというのか?」と言われました。ボクは決してそんなふうには考えていませんので、ダメだと決めつけてはおりません。確かに大学を出て、すぐ教員になって教育一筋で頑張っておられる方もたくさんいらっしゃるし、確かに分別の出来る立派な方も多くいらっしゃるのですから。それはよくわかっているつもりです。ボクが言いたいのはそういうことではありません。一般企業で社会保険をもらって働いたこともない人間に、進路指導なんて出来るのかってことなんです。文科省もこういった意識はあるようで、様々な魅力ある教員づくりに取り組んで入るようです。自分がやってもいないことを他人に教えていくことなんて出来ないのですよ、逆立ちしたって。最近になってやっと社会がどういうものか教員たちにも経験してもらおうということで、コンビニや近くの消防署等に1週間程度の社会研修に出かける制度もあるのですね。でもこんなことは、やっても何にもならないと思っています。やらないよりもやった方が良いという方がおられますが、ボクはやらない方がいいと思っています。だって帰るところがある研修だからです。コレが売れなかったら給料が減るとか格下げになるとか、そんな苦労はないのです。こんな中途半端な経験はありません。社会で血眼になって働いている人間に失礼ですよね。現職の教員が悪いと言ってません。現在の日本の教育制度が悪いのです。根本から見直す必要があります。まだまだ書きたいことはたくさんありますが、コロナで鬱憤が溜まり続けている昨今、旅にも出られず呑みにも行けず、これ以上不健康にならないように皆さんどうか気をつけて過ごしましょう。

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