高齢者

余命を知ることのできるツール

投稿日:

先に申し上げておきます。余命を知るということは、知りたいという願望以上に大きなマイナス面や倫理的なジレンマもあるということをご理解下さい。余命を知ることで、良くも悪くも本人や家族の行動が変わることもあるかもしれませんし、一方で家族や愛する人たちが、別れのための計画をたてるための心の準備ができるようになるという側面もあるかもしれません。自分の余命を知ることについては当然賛否両論あるでしょうし、良し悪しは人によって捉え方がまったく違いますので、永久にこのことの良し悪しの結論は出ないと思いますが、ボクの知り得たことだけをメモとしてまとめさせていただきたいと思います。

「Risk Evaluation for Support」と名付けられた余命が計算できるオンラインツールがあります。これは、カナダで2007年から2013年の間、在宅介護を受けていた491,000人の高齢者の「ビッグデータ」を利用して、在宅介護を受ける高齢者の変化に対応していくことを目的に開発されました。これは自身の健康のリスクを計算するものですが、その人の余命を予測し余命期間をある程度正しく知ることが出来るようになっているようです。カナダではこのツールの評価開始から6カ月以内に死亡した12万2,823人を95%の信頼度で特定することができたとしています。

前述しましたが、余命を知りたいと考える人知りたくないと考える人は、カナダに限らず人様々だと思います。以前「平均寿命と健康寿命と平均余命」というブログを書いたことがあります。「寿命」とは、死因にかかわらず生まれてから死ぬまでの時間であり、生誕の段階で予測されたものです。一方、日本にも厚労省が5年毎に算出している「平均余命」というものがあります。平均余命とは、時間経過に伴う状況環境変化による平均寿命の補正数値と考えても良いかもしれません。具体的にボク自身に置き換えてみるならば、生まれたときには60歳位まで生きるだろうと予測され、その後生きている間に様々な要因や変化が加わって、11年プラスされて71歳まで生きると言われ、1年ほど前に発表された厚労省による平均余命では十数年伸びて85歳で死ぬということになっています。これが正しいとか間違っているとかでなく、知りたい人知りたくない人がいて良いという結論にさせてください。余命を知るということには、倫理的な問題も含めて多くの課題があります。このツールの計算が世界のどこでも通用するものであるかということについても疑問が残りますし、日本人としての生き方や考え方、人生観といったものが千差万別ですので、決して利用をオススメしているわけではないことをご理解いただくたく思います。

ツールを利用させていただきました。

現在94歳で軽い認知症の入った要介護5のボクの母親については、高齢ですので、ボクも含め家族のためにもある程度の余命は知りたいと考え、この「Risk Evaluation for Support」を利用させていただきました。使う使わないはともかく、こここからリンクしておきます。現在世界中の誰もが無料で利用できるようになっています。利用することには冷静な対応と慎重な行動が必要になることは当然ですので、ご利用される場合は熟考の上自己責任でお願いします。ただ、これがガセネタでないことは、カナダ内科学会の発行する医学雑誌「Canadian Medical Association Journal(CMAJ)」に7月5日付で掲載されていることからも明らかなことだと思われます。

実際の利用方法は以下です。

まず、上記リンクから該当Web Pageに行き、該当者が誰であるのかを選びます。ウチの母親は女性で家族で94歳であることを入力しました。選択結果は上の右のように表示されます。表示されるアナウンス及び結果の出力は英語であることをご理解下さい。

学歴から始まり、脳卒中、アルツハイマー病、認知症、うっ血性心不全、冠状動脈性心臓病、高血圧、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症などがあるかどうか、その他かなり多くの要素を正直に入力します。要介護のレベルは日本国内でのみ通用するものですので、考えながら状況を置き換えて入力選択することも行いました。その結果、カナダで計測した方々のビッグデータからみて、ウチの母親は今から「2〜3年が余命」であり、「25%の人が10か月以内に亡くなり、25%の人が4.4年生存した」というコメントが付記されてきました。

また、ボクの入力したことと同様の回答をした100人のうち、28人の人が1年以内に亡くなり、72人の人が1年以上生存したとしています。

さらに死のリスクとして、3ヶ月以内に亡くなる確率は9%、1年以内に亡くなる確率は28%、5年以内になくなる確率は81%としています。

そして、総合分析として、FRAILTY(もろさと訳すことが適当かわかりませんが)は、ハイリスクの少し上を指しています。

最後にもう一度誤解のないように申し上げておきます。どんなに優秀なツールであっても万能ではないということです。人の心に勝るものはありません。誰でもそうだと思いますが、ボクも父親が亡くなった時に大変な思いをしました。こういったことを母親の時には少しでも軽減したいがためにボクはツールの力を借りたいと思いました。これが人間として必ずしも正しくはないかもしれないという気持ちもありながら利用していることを今日のブログの最後にお伝えしたく思います。

-高齢者
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

近未来予測レポート(環境編)の2

以下は2021/06/02のニュースです。2021/05/20に近未来予測レポート(環境編)でまとめた懸念が早まっているように感じてなりません。 ブラジル北部のマナウス市で6月1日、100年以上に及ぶ …

マイナンバーカードが健康保険証代わりに

 3月からマイナンバーカードが健康保険証に代わりになります。 マイナンバーカードは、現段階で身分証明書、オンライン確定申告(e-Tax)、行政書類のコンビニ交付ができますが、この3月から、健康保険証と …

清潔・抗菌への取り組みを強化しています

人が日常身につけているものの中で、一番不潔な菌が多いのは「携帯電話・スマートフォン」だと言われています。確かにそうですよね。スマフォは利用する時と場所を選びませんしこれをいつでも素手で触るわけですから …

男性高齢者の皆様へ家事のススメ

 2020年現在の日本でいちばん多い世帯は、複数で居住する家族ではなく、単身者世帯だそうなのです。特に2010年以降は、65歳以上の単身世帯が急増しているとのこと。現段階では高齢女性おひとりの単身世帯 …

人生100年時代を乗り切るためにその7(最終編)

高齢者として最後まで健康に楽しく生きていくために「その1(老人の跋扈はやめましょう)」「その2(自立しましょう)」「その3(働き続けましょう)」「その4(運動食事睡眠の質の改善を意識しましょう)」「そ …