高齢者

インフレ・増税・年金減額を考える

投稿日:

厚労省2017年「国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の収入の年間平均所得は334万9000円で、所得に占める公的年金の割合は61.1%となっています。これは60歳以上になっても働き続ける高齢者が増加した結果といえますから、政府の改正高年齢者雇用安定法(通称・70歳就業法)が施行され人生100年時代に向かって今後も増加するものと思われます。これについては、「改正高年齢者雇用安定法施行にあたってのブログに詳しく書いてあります。
また、公的年金の平均所得は、前年度比3.2%の減少。これは単身世帯が増えていることも要因の一つと言われており、「公的年金のみ」で暮らしている世帯は高齢者全体の51.1%となっています。つまり高齢者総数の半分の人たちが年金だけで生活しているってことなのですね。
公的年金の平均所得204万5000円は、月額にして約17万円となります。今の世の中、持ち家があったとしてもこれだけで生活するのは厳しいですよね。だから預貯金から6万円程度を補塡しないと月々暮らして行けないというのが、「年金だけで暮らす単身高齢者」の平均的なイメージだと分析されています。これが老後2000万円問題などで脅迫的なイメージが拡散されるのでみんなビビってタンス預金始めちゃうんですよねぇ。

高齢者が生きていくための3大リスク

RISK 01

そんなに遠くないこの先の話になりますが、増え続ける高齢者の3大リスクを予測しておかねばなりません。
まず1つ目は「インフレ」です。これについてはボク自身、アベノミクスの始まる前から何年もかけて素人なりの分析に基づく予測を立ててきましたので、詳細は「近未来予測レポート(経済編)」の「インフレの時代へ」のコーナーで説明しています。ですからボクは2021年3月で持ち株のすべてを売却しました。総額でも大したことはありませんので機関投資家からはもちろんのこと一般投資家の皆様からも何大げさ言ってんだと笑われる金額かもしれませんが、自分自身の稚拙な分析から年内の株価下落と崩壊を予測したからなのです。近々に株価と同様に不動産バブルは崩壊し不動産価格は下落すると見ています。すでにUSではこれが始まっています。

RISK 02

そして2つ目のリスクは、「増税」 です。我が国は、GDPの3倍近い財政赤字を抱えていますから、今後さらなる消費税増税や社会保障費の負担増は避けられません。日銀の黒田総裁が2023年3月に任期満了で退任し新総裁が誕生します。ボク自身としては、新総裁がウルトラCをやってくれても根本的な問題解決はできないんじゃないかと思っています。黒田総裁が悪人って言ってませんよ。ちゃんと言っときます。こうしてこのブログをまとめている間に、2021/06/09のニュースが発表されました。65歳以上の月額介護保険料の全国平均が今年4月の改定で、初めて6000円を超えたというニュースです。介護保険に関してだけでも、要介護者の増加などで、今後さらなる上昇が見込まれいています。そしてすべての税金にこの傾向は連動して行くものと考えられるのです。

RISK 03

3つ目のリスクは、「年金の減額」です。我が国の高齢者が今後も増え続け、年金の財源が枯渇するようなことになったときに、政府が税金を使って、破綻を阻止してくれるといったシナリオは期待できなくなってきています。結局、自己責任で何とかしなくちゃダメだよってことになるんじゃないでしょうかね。
上記3つのリスクの中で、最も現実味の高いのが年金の減額です。2019年の財政検証でも、最悪のシナリオでは年金給付水準が現役世代の35~37%程度になるとされていました。「えっホントかよ、それって今の半分じゃん」って思っちゃいますよね。
現実になってほしくはないですが、現在の公的年金の給付水準が現役世代の平均収入の6割とすれば、現在の約半分程度になる可能性は十分予測できるのです。高齢者の増加や国家財政状況を考えた時に、今後の年金支給に関してこの6割を超えた水準を維持して行けるとは考えにくくなってきます。どのシナリオに帰着するにせよ、最終的には自己責任で何とかしなければならないという時代に入ったのかもしれませんね。老後の収入を考えるときには、現在でも半分以上の人が依存している「公的年金」の安全性については、今後も注意深くその推移を見守る必要があります。年金受給者には、公的年金による収入が大きく減ったら、その分をどうやって補塡すればいいのかを今から考えておいてほしいと思います。といっても国内で出来ることはたかが知れています。もっとも今現在1ヶ月7万円の年金だけで幸せに過ごしている方だっておられるのです。「74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる」(すばる舎刊)の主人公「牧師ミツコさん」です。甘い考えの自分にはミツコさんの生き方考え方大変参考になりました。上見りゃキリない下見りゃキリない。今の日本人は一部の富裕層を除いて全員ビンボー国民になったと理解しておいた方が良いかもしれないですね。数日前に、生活が苦しくなったからと、普通の人が強盗をして人を傷つける恐ろしい時代になった記事がありました。80歳にもなる人がわずか4万円を盗んだと…………….。他にも似通った事件が起き出しています。今後ますます日本で生活困窮者の増える兆しはあります。ご家族での話し合い、ご自宅のセキュリティを含めご再考下さい。
話を少し戻しますが、現段階で言われている月額約19万円の「可処分所得」がさらに減る可能性があります。前述の「3つのリスク」が実際に襲いかかってきたときに共通するのは、使うことができるお金、「可処分所得」が減っていくということです。夫が65歳以上の無職世帯の可処分所得は、月額19万3743円、年額約232万円(2018年、総務省「家計調査年表」)となっていました。高齢者世帯はもともと「可処分所得」が少ないのですが、上述の影響からそれがさらに減ることになります。高齢無職世帯の半数以上が公的年金だけに頼って生きているのですから、高齢者の生活への影響は計り知れなくなりますよね。生活保護世帯を悪く言っているのではないことを先に申し上げておきますが、現在は「生活保護世帯のほうが、年金暮らしの単身世帯よりもずっと豊かだ」と言われます。これから先こんな時代になったら生活保護制度も消滅せざるを得ないかもしれませんね。でも、モノゴトを悪く悪く考えちゃダメですよね。もっとポジティブに生きなくっちゃ。でも深く悩まず考えずに楽観していて良いことと、たとえ短い期間でも計画的に万が一の時の対応を考えておくことの両方があります。これを読んでいるあなたは、あなた自身が幸せに生きていく権利と同時に家族を不幸にしない義務があります。今ここで考えるべきことをしっかり考えておきましょう。これが70歳の高齢者であるボクから高齢者の方々へのお願いなのです。

-高齢者
-, , , , , , ,

執筆者:


  1. 阿部百合子 より:

    先生のいうことはもっともだと思います。そうならないように、主人と私は、カフジにいる間、投資しました。が、政府によって駄目にされたと思っています。
    本当にお金というものは、足りないものですね〜。何とか工面して、今日までやってきました。これでインフレになったら、、、考えると、暗い気持ちになります。

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

衣食住の「衣」

ボクは衣食住は、生きていく上での経費だと考えています。すべてその発想から生きて行く上での衣食住に関するすべての考え方がスタートしています。ですので、お読みになって「そりゃ違うだろ?」と思われることがあ …

新型コロナウイルス緊急事態宣言解除にあたって

新型コロナウイルス対策で政府の出していた緊急事態宣言が今日(2021/03/21)、残っていた首都圏の1都3県で解かれることになりました。約2カ月半に及んだ宣言はこれで全面解除となりますが、皆さんご承 …

ワクチン接種後…..

ワクチンの接種率がOECD加盟38カ国中、最低水準の日本は、景気回復でも大きく出遅れています。日本でも、やっとワクチン接種が進み始めましたが、USでの接種率は、5月28日付で全人口の50%を突破したら …

新型コロナウィルス感染症ワクチン接種

ボクの居住する東京都調布市でも、新型コロナウィルス感染症ワクチン接種の案内が始まりました。75歳以上の後期高齢者の接種は進んでいるそうで、今回は65歳から74歳までの方々対象の接種ということですので、 …

インターネットバンキングのススメ

昨日、自己DXのススメというブログで、ネット銀行の利用を皆様にオススメしました。ボク自身数年前に市中銀行をすべて解約し、ネット銀行に鞍替えしていることはお話しました。それは「お得」だからなのです。ウチ …